2024.11.19

中小企業賃上げ税制 繰越控除の留意点

令和6年4月以降開始する事業年度から改正される「賃上げ促進税制」について、改正項目のうち、新たに措置された繰越控除措置についてご紹介します。

【繰越控除する事業年度の要件】
賃上げ促進税制が適用できる事業年度が赤字である事等により、控除できる税額がなく、未控除額が発生した場合、その未控除額の5年間の繰越が認められる事になりました。ただし、この繰越控除制度を適用しようとする事業年度(例えば未控除額が発生した翌事業年度)においても以下の要件を満たす必要があります。

(要件1)
未控除額が発生した事業年度以後の各事業年度の確定申告書に「繰越税額控除限度超過額の明細書」の添付が必要であること。
(要件2)
未控除額を繰越控除できるかどうかは、繰越控除する事業年度において、雇用者給与等支給額が対前年比で増加している事。

【まとめ】
上記要件1、については当該明細書が申告書に添付されていない場合、繰越額が消滅してしまうので注意が必要です。例えば要件2により適用できない事業年度であったとしてもその後の繰越の為には明細書の添付です。
2、については繰越控除の適用年度も前年比の給与の増加が要件となるため、繰越控除額の発生年度の翌年以降に無条件で使用できるものではない事を理解しておく必要があります。