2023.11.15

連帯納付義務とは

【連帯納付義務とは】
相続税や贈与税には連帯納付義務というものがあります。連帯納付義務とは、他人が納めていない税金を代わりに納めなければならない、というように他人の納付義務につき連帯責任を負わされる制度です。
イメージとしては、お金を借りた場合の連帯保証人と同じようなものです。連帯保証人と違うのは、本人の意思に関わらず相続税や贈与税の申告をすれば強制的に義務を負うという部分です。
本来、相続税や贈与税は、自分が取得した財産に応じた相続税や贈与税の納付義務を負いますが、そこのみに納付義務を限定してしまうと、税収の漏れが生じてしまう可能性があるためこのような規定が設けられています。

【連帯納付義務者】

1.相続税の場合
例えば、子供A、B、2人で相続税が100万円ずつの場合、Aが納付を済ませていても、Bが納付していない場合、既に納付を済ませているAがBの納税義務も負う事になります。
2.贈与税の場合
例えば、親Aが子Bに財産を贈与して贈与税が100万円の場合、本来の納税義務者Bが納付していない場合、財産を贈与した親Aがその贈与税の納税義務を負う事になります。

【連帯納付義務の注意点】
上記の相続税の場合を例にするとAが本来の納税義務者のBの相続税を代わりに支払った場合、その支払った税額はBに対する求償権(AがBに請求できる権利)となります。
この場合において、Aが求償権を放棄したときや明らかに求償権を行使しないと認められるときには、Aが支払った金額がBに対する贈与とみなされ、さらに贈与税が課税されるおそれがあります。
ただし、本来の納税義務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である等の場合には贈与とはみなされません。

【所感】
相続又は贈与により、税金が発生する場合、その納税資金に関しても注意をする必要があります。相続又は贈与により財産を取得する本人の財産が少ない場合に、不動産や換金性の低い財産のみを相続又贈与により取得した場合は、税金を納めるだけの資金が不足する可能性が高く、他の相続人や贈与者が本来負担しなくてもよい税金を負担することになってしまいます。