賃上げ促進税制の改正
令和6年度の税制改正により「賃上げ促進税制」が改正され、税額控除額が中小企業の場合、最大45%となり、また控除しきれなかった金額の5年間の繰越が可能となりました。
≪対象法人(改正なし)≫
・資本金もしくは出資金額が1億円以下の事業者
・資本もしくは出資のない法人で、常時使用の従業員数が1000人以下の事業者
※ただし同一の大規模法人から1/2以上の出資を受けている法人、又は2以上の大規模法人から2/3以上の出資を受けている法人を除く。
≪適用期間≫
・令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度
≪適用要件(改正なし)≫
・雇用者給与等支給額≧比較雇用者給与等支給額×101.5%
≪税額控除額(改正なし)≫
・①と②のいずれか少ない金額
①(雇用者等給与支給額 - 比較雇用者給与等支給額)×控除率
②適用年度の法人税額 × 20%(控除上限)
≪控除率≫
・給与等の増加割合 (改正なし)
1.5%以上 ⇒ 15%
2.5%以上 ⇒ 30%
≪上乗せ措置①≫(改正あり)
・改正前
教育訓練費の増加割合が10%以上 ⇒ 10%加算
・改正後
教育訓練費の増加割合が5%以上 かつ 教育訓練費が雇用者給与等支給額の0.05%以上
⇒ 10%加算
≪上乗せ措置②≫(新設)
「プラチナくるみん」や「プラチナえるぼし」などの認定制度取得した場合
→5%加算
(どの賃上げ要件を選ぶかにより、基準が変わりますので詳しくはリーフレットなどをご確認ください。)
(※)くるみん認定制度とは「子育てサポート企業」として一定の基準を満たした企業について厚生労働大臣が認定する制度。くるみん認定を受けた企業のうち、男性労働者の育児休業等の取得率等を満たした企業が「プラチナくるみん認定」を受けることが出来る。
(※)えるぼし認定制度とは「女性の活躍推進企業」として一定の基準を満たした企業について厚生労働大臣が認定する制度。えるぼし認定を受けた企業のうち、女性労働者の継続就業等の一定の基準を満たした企業は「プラチナえるぼし認定」を受けることが出来る。
≪控除限度超過額の繰越≫(新設)
・5年間の繰越可
未控除額を翌年度以降に繰越す場合は、未控除額が発生した年度の申告で「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」の適用が必要。また繰越税額控除する事業年度において、全雇用者の給与等支給額が前年度より増加している場合に限り適用が可能。
法人税等の税負担はおよそ25%~35%です。賃上げした分の給与は当然損金に算入されます。
したがって、賃上げした金額の25%~35%は法人税等が減少します。さらに今回の改正で、最大45%の税額控除を受けることが出来ますので、実質は賃上げした金額の70%~80%分の税金が減ることとなります。(ただし法人税額の20%が上限です。)
昨今、人手不足で人材確保に苦労している企業が多いかと思います。今回の改正は賃上げによる人材確保の一助になるかもしれませんね。