2019.07.01

遺産分割前の預金払い戻し制度が本日より施行

平成30年7月6日の改正相続法が成立し、同年7月13日に公布されました

もともと、遺産分割前の預貯金は相続開始と同時にそれぞれの相続人の相続分に従って当然に分割され、金融機関に対してその相続分に応じた払い戻しを請求できました。
しかし、平成28年の最高裁判決で遺産分割前の預貯金は、相続人全員の同意を得たうえでなければ預貯金の払い戻しができないことになってしまいました。

そこでこの度の改正により、相続人の様々な火急の出費などに迅速に対応できるようにするために、遺産分割前に相続人が他の相続人の同意を得ることもなく、一定の範囲の預金の引き出しが可能となりました。

払い戻しができる額=相続開始時のその金融機関の預貯金×3分の1×法定相続分

ただし、一つの金融機関で払い戻しできる金額は150万円までとなっています。

もちろん、戸籍や法定相続情報一覧図、ご自身の印鑑証明等が必要となります。

火急の出費といっても病院の入院費の精算や、葬儀費用その他を想定されているのでしょう。
過去に親族関係が多岐にわたり、法定相続人全員の確認がなかなかできなかった事例がありました。そのような方にも、法定相続人全員の同意が得られなくても、一定の金額の払い戻しが可能となる今回の改正は有用だと感じます。

今回の相続法の改正、ほかにも興味深いものもあります。
また、次回にでもご紹介したいと思います。

豊田 智美