2017.04.06

取引相場のない株式の評価について

相続税や贈与税など、上場していない、つまり非上場の会社の株価を算定する評価方式にこのたび改正がありました。

評価方式の1つに類似業種比準価額方式というものがあります。
同業種の上場株式の株価の平均値にその評価会社の実態に応じて修正割合をかけていくというものです。
その修正割合について改正がありました。

(改正前)
(過去の配当実績×1 + 過去の利益額×3 + 過去の純資産価額×1)/5


(改正後)
(過去の配当実績×1 + 過去の利益額×1 + 過去の純資産価額×1)/3
 

利益金額は納税者にとって最も調整しやすい項目です。改正前であれば利益が評価要素の3/5と大きな割合を占めていたので
利益を圧縮することで評価額の引き下げ効果が大きかったのです。
今回の改正で、利益金額の割合が3/5から1/3になることで、以前のような評価額の引き下げ効果は薄まると思われます。

また、設立以来、黒字決算が多い会社などは純資産価額が多額である場合があります。
そのような会社は改正前であれば評価要素が1/5でしたが、改正後は1/3となり、評価額を引き上げる結果となります。

非上場の株式の評価については、私自身も疑問に思うことが多いです。
流通性が低く、換金性が極めて乏しい非上場株式ですが、事業承継や相続の際に、その評価が高額につき納税が困難である
ケースは多々あります。
この度の評価方式が変わることで、さらに評価額が引き上げられることになるでしょう。
ますます、中小零細企業の株主にとって、事前の対策が必要となります。